論文
名古屋市小学校部活動見直しと 「公設民営型」部活動の可能性
千葉直樹
子どもと発育発達, 杏林書院, 21, 3, 10, 14, 2023年, 査読無, 有り, 単著(単編著), この論文では、名古屋市の小学校部活動見直しの経緯と「公設民営型」部活動の仕組みについて紹介した。
研究ノート
アメリカの高校・大学バスケットボール指導者の暴力と罰 に関する信念 ―指導者の非暴力経験とアメリカの訴訟社会に着目して―
千葉直樹
バスケットボール研究, 日本バスケットボール学会, 8, 19, 30, 2022年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 本研究の目的は,アメリカの高校・大学に所属するバスケットボール指導者の暴力と罰に関する態度を明らかにすることである.本研究では,2017年2月から2018年3月にかけて,アメリカの高校・大学バスケットボール指導者8名に,各1時間程度のインタビュー調査を行った.本研究では,暴力と罰に関する態度に焦点を絞り,専門家インタビューを行った.本研究で対象としたアメリカ人バスケットボール指導者は,選手時代に被暴力経験を受けておらず、選手への暴力行為を行っていなかった。したがって、暴力を伴う「指導」をあり得ない行為と捉えていた.しかし、選手が練習を寝坊のために遅刻した場合には,多くのコーチが次の試合の欠場を課し,ランニングなどの罰を与えることも多かった.またアメリカは訴訟社会と呼ばれ、指導者による暴力事件が発覚すれば、コーチは職を失い、学校は法的に訴えられる状況が暴力行為を抑止していることが示唆された。
翻訳
『スポーツとフーコー―権力・知・自己の変革ー』の書評に応えて
ピルッコ・マルクラとリチャード・プリングル/千葉 直樹 訳
スポーツ社会学研究, 日本スポーツ社会学会, 30, 1, 4, 6, 2022年, 査読無, 有り, 共著(共編著), 『スポーツとフーコー―権力・知・自己の変革ー』という本への下竹亮志氏による書評に対して、著者であるピルッコ・マルクラ氏とリチャード・プリングル氏の返答を、翻訳しました。
論文
北海道A市中学校教員にみる学校部活動への取り組み方と超過勤務の実態
千葉 直樹
北海道体育学研究, 北海道体育学会, 56, 9, 17, 2021年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 本研究では、2017年9月に、北海道A市公立中学校教員141名を対象に、学校部活動への取り組み方と超過勤務の実態について質問紙調査を行った。主な結果は、62.3%の顧問が、自身が経験のない部活動を担当しており、その比率は日本体育協会(2014)の調査結果と比べて相対的に高かった。さらに、部活動への取り組み方に関して、約6割の顧問が積極的に取り組んでいた。顧問の直面する問題は、「部活動のために休日を確保できない」が67.9%、「技術的な指導ができない」が39.4%(54名)、「専門教科の準備をする時間が足りない」が33.6%(46名)であった。部活動の今度に関する考えは、「総合型スポーツクラブ等学校から切り離して運営」が42.9%、「意欲のある教員と外部指導者によって学校内で運営する」が35.3%、「部活動は現状維持のまま教員により運営する」が17.3%であった。顧問の部活動指導時間は、週に14.3時間であり、平日は1時間半、週末は3時間程度であった。さらに、過労死ラインを超える回答者の割合は85.2%と推計された。回答者の個人的属性と部活動指導時間のt検定結果から、性別、過去の競技経験、部活動の取り組み方に5%水準の有意差が確認された。部活動の指導時間を従属変数とし,回答者の個人的属性を独立変数にする,二項ロジスティック回帰分析を行った結果、男性と部活動に積極的な教師の指導時間が有意に長いことが明らかになった。
論文
東京都杉並区 公立 中学校 の部活動活性化事業 に関する研究
千葉 直樹
スポーツ産業学研究, 日本スポーツ産業学会, 31, 4, 431, 444, 2021年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 本研究では,東京都杉並区の「部活動活性化事業」に焦点を絞り,部活動の外部指導者の問題について調べた.杉並区は,東京23区の西側に位置し,2003年4月から,東京都初の民間校長を採用するなど,先進的な教育改革を行う地区である.杉並区公立中学校の部活動では,「部活動活性化事業」という民間企業による外部指導者派遣が行われてきた.企業連携型の事例は全国的に見ても珍しく,行政が積極的に介入した先駆的な例として,民間企業による外部指導者派遣の問題点を明らかにし,他の地域の参考にする価値はあるだろう.本研究の目的は,東京都杉並区公立中学校の「部活動活性化事業」の目的と問題点を明らかにすることである.この事業は,運動部活動における企業による指導者派遣を行っている.本研究では2019年に教育委員会の事務職員と民間企業(C社)の担当者に対して,専門家インタビューを行った.
インタビュー調査の結果,以下の内容が明らかになった.1)杉並区の部活動活性化事業は,和田中学校の取り組みを発展させ,2013年からモデル事業として始まった.区の予算で,競技経験のない教員の部活動を中心に,民間企業からスポーツ指導者を受け入れた.2)部活動活性化事業は,第一に生徒に楽しい部活動を体験させ,第二に教員の負担軽減を目的に行われていた.ただ,この事業の目的は,事務職員,C社の社員,校長によって認識の違いがあることが示唆された.この事業の問題点は,ソフトテニスなどの個人競技の指導者を確保することであった. 3)部活動改革を実現するためには,保健体育教員や日本中学校体育連盟も納得する取り組みをする必要性が指摘された.4)文部科学省が推奨する「部活動指導員」制度は,職務内容,待遇,人材確保の面で問題があり,規制緩和する必要があることが示唆された.5)部活動活性化事業は,部活動が成り立たない不公正な状況を是正するために,民間の指導者を派遣した取り組みであることが確認された.
研究ノート
高校バスケットボール指導者の被暴力経験と暴力行為の関係-2013年1月から2016年3月の期間に着目して
千葉 直樹
スポーツ健康科学研究, 東海体育学会, 1, 11, 2020年, 査読有, 無し, 単著(単編著)
その他
越境するスポーツー1980年代以降のNBAのグローバル戦略ー
千葉直樹
体育の科学, 日本体育学会編, 杏林書院, 60, 5, 299, 302, 2010年, 査読無, 有り, 単著(単編著), この評論では、1980年代以降のNBAのグローバル戦略について、当時コミッショナーであったデビッド・スターン氏へのインタビューを通して明らかにした。
その他
時の話題:越境するプロ野球選手
千葉直樹
現代スポーツ評論, 中村敏雄編, 創文企画, 4, 156, 161, 2001年, 査読無, 有り, 単著(単編著), この評論では、アメリカのメジャーリーグに移籍する日本人選手の問題とアメリカから日本のプロ野球に移籍する外国人選手の問題を、グローバル化という観点から説明した。
その他
連載・時代を映す人物考6:「黒船」から国民的マスコットへ~《人種という浮動的記号表現》としてのKONISHIKI
千葉直樹
体育の科学, 日本体育学会編集, 杏林書院, 50, 9, 741, 744, 2000年, 査読無, 有り, 単著(単編著), 小錦という元力士の現役中と引退後のメディア報道の傾向について分析しました。
その他
連載・時代を映す人物考5:『日本人以上に日本人らしい』と呼ばれた越境者たち
千葉直樹
体育の科学, 50, 8, 647, 650, 2000年, 査読無, 有り, 単著(単編著), サッカー日本代表のブラジル出身選手に対する新聞報道を分析し、「日本人以上に日本人らしい」という表現を通して、彼らが、礼儀正しく謙虚な日本人らしい性格を持つ人物として描かれてきたことを明らかにした。
研究ノート
ワールドカップにみるグローバルなサッカー労働市場
千葉直樹
現代スポーツ評論, 中村敏雄 編集, 創文企画, 8, 126, 135, 2003年, 査読無, 有り, 共著(共編著)
論文
地方会場におけるレラカムイ北海道の観戦者実態調査―稚内・釧路会場の調査結果から
千葉直樹、永谷稔、石澤伸弘
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報, 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター, 1, 1, 8, 2010年, 査読有, 無し, 共著(共編著)
調査報告
ブルキナファソへの野球の普及活動と元青年海外協力隊員の自己実現
千葉直樹
北海道体育学研究, 北海道体育学会, 51, 63, 67, 2016年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 本研究では、ブルキナファソで野球指導を行った出合氏へのインタビューを通して、1)ブルキナファソに野球が普及した経緯、2)ブルキナファソの青年を日本に招致してプロテストを受験させた経緯、3)日本とブルキナファソの間にあるスポーツ文化の違いを明らかにすることを目的にした。インタビュー調査は2014年11月に、北海道富良野市にある出合氏の自宅で3時間程度行われた。ンジャイ・イブライム氏(現野球連盟会長)は、1999年にブルキナファソに隣国のマリから野球を伝えた。その後、2004年にブルキナファソ野球・ソフトボール連盟を設立し、国際野球連盟に加盟した。2008年に出合氏が野球指導員としてブルキナファソに赴任してから、現在、4代目の指導員がJICAから派遣されて指導を行っている。競技人口は、2014年の時点で、400名程度で国内に20の野球チームがある。出合氏は、ブルキナファソに赴任した当初、現地の大人に野球を指導していた。しかし、彼らにとって野球とは余暇の一つでしかなかった。彼らの野球に対する姿勢に疑問を抱きながら指導をしていた時、後にプロテスト受ける幼い少年(当時8歳から10歳)に出会い野球を指導し、競技者として育てることに生き甲斐を見出すようになった。ブルキナファソの青年を日本に招いてプロテストを受験させた経緯を尋ねると、少年たちが日本でプロ野球選手になりたいという夢を持ち、努力していたために、プロ選手になる道を作ろうと考えたためであった。もちろん、出合氏は、ブルキナファソの少年に野球指導を行う過程において、日本の高校野球の映像を見せたり、2009年に少年たちを日本に招いてプロ野球などの試合を観戦させたりしていた。こうした経験を通して、ブルキナファソの少年は日本でプロ野球選手になるという夢を持つようになった。出合氏にとって、ブルキナファソの少年の夢を実現する支援活動が生きがいになり、青年協力隊員の赴任期間が終了した後も、少年の活動を支援し続けることになった。出合氏は、2013年から「プロチャレンジ・プロジェクト」として、現地でトライアウトを行い、プロになる可能性のある選手を北海道の富良野市に滞在させ、独立リーグのプロテスト受験の準備をさせる取り組みを始めた。結果的にサンホ・ラシーナ選手は、2014年から高知ファイティングドックスの練習生として2年間活動し、2015年にブルキナファソ人としてはじめて日本でプロ契約を結ぶことになった。
日本とブルキナファソのスポーツ文化の違いについて尋ねると、出合氏は次のように答えた。日本では監督のサインなどで選手が動き、失敗すれば選手もチームも大きく空気がワンプレーで変わる。一方で、ブルキナファソではサインも指示もなく、見方によっては勝手な野球と思う人もいるかもしれない。しかし、ミスをしても誰も文句は言わず、一人一人が積極的に挑戦していくという。出合氏は自分のやってきた野球は、自分の思想、オリジナリティがなく、プログラムされた環境の中でのどこか窮屈な野球であったと考えていた。またブルキナファソの選手は、日本の選手のように強制的に練習をやらせようと思っても意欲を持たせることが難しく、選手1人1人に目標を持たせ、個別練習をすることで技術の向上を目指したそうである。
論文
札幌のプロバスケットボールチームにみる観戦者特性の変化に関する研究
千葉直樹、永谷稔
スポーツ産業学研究, 日本スポーツ産業学会, 25, 2, 327, 336, 2015年, 査読有, 無し, 共著(共編著)
論文
ユーロリーグ、オーストラリアのNBL、日本のbjリーグのグローカル化と経営
千葉直樹
スポーツと社会科学のアジア太平洋雑誌, ロウトリッジ・テーラー・フランシス・グループ, 4, 2, 134, 143, 2015年, 査読有, 無し, 単著(単編著)
論文
日本アイスホッケーリーグにおける日系カナダ・アメリカ人選手の国民・民族アイデンティティ
千葉直樹
スポーツと社会科学のアジア太平洋雑誌, ロウトリッジ・テーラー・フランシス・グループ, 2, 3, 78, 89, 2014年, 査読有, 無し, 単著(単編著)
論文
日本、スペイン、オーストラリアにおけるアメリカ人プロバスケットボール選手の移住動機
千葉直樹
スポーツと社会科学のアジア太平洋雑誌, ロウトリッジ・テイラーとフランシス・グループ, 2, 2, 104, 116, 2013年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 本研究では日本、スペイン、オーストラリアのプロバスケットボールリーグに所属したアメリカ人選手8名を対象に、彼らの移住動機について調査した。新古典派経済学理論を理論的枠組みとして用い、アメリカ人選手が母国よりもより給与や契約内容を重視して海外移籍を選択したことを明らかにした。
論文
1980年代以降におけるNBAのグローバル化と経営
千葉直樹
スポーツ経営とマーケティングの国際雑誌, インダー科学出版社, 11, 3, 143, 157, 2012年, 査読有, 無し, 単著(単編著), 1980年代以降のNBAのグローバル戦略について、世界システム論をあてはめて分析を行った。特に、NBAの外国人選手の比率の変化とNBA元コミッショナー、デビッド・スターン氏へのインタビュー結果について報告を行った。
論文
Jリーグに所属する在日朝鮮人の民族意識
千葉直樹
北海道体育学研究, 北海道体育学会, 46, 27, 38, 2011年, 査読有, 無し, 単著(単編著)
論文
札幌市及び江別市のパークゴルフ愛好家の活動状況に関する調査-季節に応じた中高年者の活動頻度に着目して
千葉直樹、加藤満、小田史郎
北海道体育学研究, 北海道体育学会, 42, 9, 15, 2007年, 査読有, 無し, 単著(単編著)
論文
競技的な傭兵かスポーツ大使か:ニュージーランドから日本へのラグビー競技移住
千葉直樹、スティーブ・ジャクソン
フットボール研究, フットボール・スタディーズ・グループ, 9, 2, 67, 78, 2006年, 査読有, 無し, 共著(共編著), ニュージーランドのラグビー界では、1990年代以降、トップレベルの選手の海外流失が大きな問題になっていた。世界でもトップクラスの競技レベルを誇るニュージーランドから、優秀な選手が英国、フランス、日本など外国のクラブチームに毎年、海外移籍を行っている。本研究では、ニュージーランドのプロラグビー・クラブから、日本の企業に移籍した10名の選手にインタビュー調査を行った。10名のうち6名は、「オールブラックス」と呼ばれるニュージーランドラグビー代表チームに選抜された経験を持つ一流競技者であった。調査の目的は、①ニュージーランドから日本の企業チームへの移籍の動機、②日本とニュージーランドの間にあるラグビー文化の違い、について明らかにすることであった。
日本の社会人ラグビーリーグに登録された外国出身者の数は、2002年に1・2部リーグを合わせて98名おり、そのうち、49%(48名)はニュージーランド出身者であった。このように、多くのニュージーランド人が日本の社会人ラグビーに勧誘される理由はどこにあったのだろうか。調査結果は、以下のとおりである。移住の理由に関して、5名の選手は企業との良い条件の契約を、3名は日本文化を経験することを第一の理由としてあげた。残りの2名は様々な要因を理由としてあげた。日本とニュージーランドの間には、物価の違いや賃金格差があり、ニュージーランドの一流選手が日本の企業チームに移籍すれば、5~6倍近い収入を得ることができた。
論文
太平洋沿岸のプロ野球リーグにみる選手移住傾向:1995年~1999年
千葉直樹
スポーツと社会問題の雑誌, セイジ出版, 28, 2, 193, 211, 2004年, 査読有, 無し, 単著(単編著), この研究では、1995年から1999年までの5年間、アメリカ、日本、韓国、台湾のプロ野球選手の海外移籍について分析した。
論文
グローバル化、帰化、アイデンティティ:日本の越境スポーツ選手の事例
千葉直樹、海老原修、守能信次
国際スポーツ社会学レビュー, セイジ出版, 36, 2, 203, 221, 2001年, 査読有, 無し, 共著(共編著), 昨今、日本スポーツ界には、相撲の武蔵丸のような外国出身者が増えてきている。一方で、イチローや中田英寿のような日本人も、海外に移籍するようになった。これらの現象は、スポーツ界におけるグローバル化の実例として捉えることができるだろう。本研究では、国境を越えて一時的もしくは恒久的に「移住」するスポーツ選手を、「越境スポーツ選手(Borderless athletes)」と呼ぶことにする。
この調査では、外国出身選手が日本代表に選ばれることに関して、日本人が抱く抵抗感について明らかにするために、福岡(1993)の類型枠組みを、日本と何らかの関わりをもつ越境スポーツ選手にあてはめた。その結果、この抵抗感は、人種的な違いに基づく感覚であることが示唆された。本研究では、日本国籍を取得した越境スポーツ選手に関する様々な問題を、以下のように検討した。
大相撲、プロ野球、Jリーグという日本の代表的なプロ・スポーツ界で活躍した越境スポーツ選手に焦点を絞り、操作的な帰化という問題を取り上げた。つまり、何人かの外国人選手は、日本スポーツ界で長期間プレーし続けるために、帰化せざるをえない状況におかれていた。また、長野五輪の時に帰化した日系人アイスホッケー選手の事例から、日系人を優遇する日本の法律や、血統的な近さを重視する日本人の民族的なイデオロギーによって、選手が日本に引き寄せられたことが確認された。加えて、呂比須の帰化に関連して、公的機関がこの処理に便宜を図ったことは、国家によるナショナリズムの強化としての意味を持っていたと考えられる。
さらに、ラモスと呂比須に関する新聞報道を分析し、両者が「日本人以上に日本人らしい」と描写された意味について明らかにした。この比喩表現は、メディアが外国出身者の中に、日本人の持つ美徳を見出した時に用いられる、日本人の自民族中心主義を表すものである、と考えられる。
論文
トップ・アスリートにおける操作的越境からのシークレット・メッセージ
千葉直樹、海老原修
スポーツ社会学研究, 日本スポーツ社会学会, 7巻, 44, 54, 1999年, 査読有, 無し, 共著(共編著)
愛知県豊橋市小学校部活動の廃止と「のびるんdeスクール」の設立に関する研究
千葉直樹
日本体育社会学会第1回大会, 2023年, 単独, 査読無, 国内会議, 口頭発表(一般), 日本体育社会学会, 立教大学
日本におけるスポーツ、広告、ジェンダー、人種、国民アイデンティティの横断:テレビ広告への大学生の反応
千葉直樹
2023年国際スポーツ社会学会, 2023年, 共同, 査読有, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), カナダ、オタワ市, Ottawa, Canada
全国大会出場以上の実績を持つ大学女子バスケットボール部指導者のコーチング哲学に関する研究 ―ライフストーリーを通したコーチング哲学の探求
関智弘、千葉直樹
日本スポーツ社会学会第32回大会, 2023年, 共同, 査読有, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 中京大学豊田キャンパス, 1.序論
2012年の運動部指導者による暴力事件を契機に,日本体育協会(当時)等の5団体から暴力行為根絶宣言が出された.その後,こうした出来事は,日本スポーツ協会や日本バスケットボール協会の指導者育成に,スポーツの知識や技能とともに哲学や人間力も重視するように活かされた.しかし,スポーツ現場における暴力やハラスメント等の事件は減少傾向にあるが,未だに起こっている.本研究では,日本スポーツ協会等が重視している哲学や人間力の一部と考えられるコーチング哲学に焦点を絞る.スポーツ指導者はどのようなコーチング哲学を持って指導するのが望ましいのだろうか.
澁澤(2015)は,全国大会優勝等の実績を持つ,大学バスケットボール指導者4名にインタビュー調査を行った.4名のコーチング哲学は,選手の可能性を引き出すこと,自主性・自発性を促す支援的な選手との関わりによる動機づけ,選手の人間的な成長を考える信念であった.彼らは選手の自立を中心に据えた指導行動を選択していた.しかし,澁澤の研究では,コーチング哲学の定義に不明瞭な点があった.この点は,欧米や日本のコーチング研究でも同様のことが指摘されてきた(佐良土,2018; Cushion and Partington,2016).これを整理するために本研究では,佐良土(2018)による「コーチング哲学」の定義を採用する.その定義は,「アスリートやチームの卓越性を向上させ,その卓越性を発揮させるコーチング実践において,(a)さまざまな原理として目指される目的,(b)コーチに方向性を与える基本的方針,(c)コーチによって設定される価値観についての包括的な言明」(p.556)である.本研究では,実績や経験のあるコーチほど,明確なコーチング哲学を持っており,さらにその重要性を理解していたという指摘(Nash et al.,2008)も参考にした.
以上の理由から,本研究では全国大会出場以上の指導実績を持つ大学女子バスケットボール部の現役指導者に対象を絞った.本研究の問いは,第一に全国大会出場といった一定の実績を持つ大学バスケットボール指導者がどのようなコーチング哲学を持った上で指導しているのかである.第二に指導者はどのような経緯やきっかけでコーチング哲学を形成するに至ったのだろうかである.本研究では,全国大会出場の実績を持つ大学女子バスケットボール部指導者のコーチング哲学を明らかにすることを目的とする.
2.研究方法
筆者は,機縁法により,2021年8月から12月にかけて全国大会出場実績を持つ大学女子バスケットボール部の指導者5名に対して各1時間30分程度の半構造化されたインタビュー調査を行った.本研究では,5名の語り手のプライバシーを考慮して仮名で表記する.語り手は,指導するチームにおいて,ヘッドコーチとして試合での指揮等,主導的な役割を担っていた.語り手の属性は,指導する大学に勤務する男性教員が4名,一般企業に勤務する女性外部コーチが1名であった.筆者は,大学時代に全国大会に出場し,卒業後,日本リーグ等での選手経験があり,引退後,大学女子バスケットボール部でアシスタントコーチとして指導経験を有していた.そういった属性から,語り手と指導者として共感できる部分や説明がなくても理解が可能な関係性にあった.インタビューの内容は,コーチング哲学を構成する指導者の目的,価値観,基本的方針に関する項目と過去の経験,人生の転機,影響を受けた人物等の質問を設定した.
これまで日本のスポーツ社会学では,主にライフヒストリーというインタビュー方法を用いた研究が行われてきた(吉田, 2012).たとえば,吉田(2012)は,元Jリーガーの車椅子バスケットボール競技者へのキャリア移行に関して調査を行った.一方で,近年ではライフストーリー法を用いた研究も行われている(浜田,2022).浜田(2022)は,<第3のアスリート>と呼ばれるトライアスロン選手の引退の動機を明らかにするためにこの調査技法を用いた.
本研究では,こうした研究動向を参考にしながら,筆者が解釈主義の認識論に立つために,桜井(2002)が提唱する社会構築主義に基づくライフストーリーという調査手法を採用した.また,大久保(2009)は,ライフストーリー法を,これまでの人生全体や人生のある時期の一つのエピソードが単独で語られる場合も含むと指摘している.このことから,本研究のテーマである,バスケットボールの指導におけるコーチング哲学と,それが形成された経緯やきっかけを探求する上で最適な調査手法としてライフストーリーを選択した.本研究は2021年3月に中京大学大学院スポーツ科学研究科倫理審査委員会の承認を得ている.
3.結果及び考察
本研究では,5名の語り手にインタビューを行っているが,抄録ではB氏・C氏・D氏の結果を報告する.残り2名の事例については発表で説明する.B氏が指導する目的は,指導が人間力を高める手段であり,最高の自分になるため,自身の社会貢献,地域貢献という内容であった.B氏の価値観は誠実,謙虚,寛容であった.選手に対して最高の自分になることを求めていた.基本的方針は寛容であることを求めて,コミュニケーションをとり,歩み寄り,求め合うことであった.選手に誠実,謙虚であることを求めている.自身が選手に誠実に接し,悪口や愚痴を言わないことで,最高の自分になるために片付け等の当たり前の行動ができるようにすることを意識していた.誠実や謙虚という価値観は特に大学時代の運動部部長の教えから形成されたものであった.
C氏が指導する目的は,やれることを全部やる,全力を尽くすこと,後進指導者の養成であった.大事にしている価値観は,協同であった.指導者と選手との立場はフラット(対等)で,役割が違うだけでお互いに高め合うものと考えていた.また選手を尊重することも大事にしている価値観として挙げられた.基本的方針は,役割が違うだけでお互いに高め合う価値観から,本音でぶつかり合うことであった.これは特に4年生との協力関係,信頼関係の構築においての方針であった.こういった価値観は一方的な指導を行っていた時の失敗から,選手を尊重することと選手との関係性が対等になったことを反映している.
D氏が指導する目的は,選手を成長させることであった.勝利よりも人間的な成長を重視していた.大事にしている価値観は,勝負よりも挑戦することや過程を重視するものであった.また練習や試合への準備や選手の自主性を大事にしていた.基本的方針は,準備の重要性や過程を重視する価値観と結びついていた.また態度の良くない選手は試合に出場させないという方針を持っていた.挑戦や過程,準備をしたことに対しては選手を褒めて,乗せることを考えていた.またバスケットボールを通じて人間形成と選手自身の成長を図ることを方針としていた.
三名のコーチング哲学を概観すると,コーチング哲学の三つの構成要素は,お互いに密接に絡み合っていることが明らかになった.3名の語り手は,選手,アシスタントコーチ時代に関わった指導者等の人との出会いと,過去の指導における成功・失敗体験を通してコーチング哲学を形成していることが明らかになった.この結果は,過去の経験がコーチング哲学の形成に影響するという指摘(澁澤,2015)と一致している.
主な参考文献
浜田雄介(2022)〈第3のアスリート〉のキャリア形成における選択の合理性:あるトライアスロン選手のライフストーリーから.年報体育社会学,4:pp.1-20.
澁澤秀徳(2015)大学バスケットボール指導者の指導哲学とその形成過程.順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科修士論文.
佐良土茂樹(2018)「コーチング哲学」の基礎づけ.体育学研究,63(2):547-562.
桜井厚(2002)インタビューの社会学-ライフストーリーの聞き方.せりか書房.
スポーツのグローバル化と多様性
千葉直樹
令和4年度東北体育・スポーツ学会, 2022年, 単独, 査読無, 有り, 国内会議, 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等, 講演者, 東北体育・スポーツ学会, 仙台市, 1993年の全国高校駅伝大会では、二人のケニア人留学生を起用した仙台育英高校が男女アベック優勝を遂げた。全国高校体育連盟は、留学生の活躍をきっかけに、「外国人留学生枠」をエントリー選手の20%程度と1994年に規定した。この時期に留学生を用いた強化策が日本の私立高校で行われた背景には、どのような時代の変化が関係していたのだろうか。
本講演では、過去30年間に起こったスポーツとグローバル化に関する問題に焦点を絞り、多様性を尊重したスポーツ界を作るための考えを紹介する。文献研究や半構造化されたインタビュー調査に基づく内容を扱う。本講演では、外国人選手の移住動機・民族アイデンティティ、日本と海外とのスポーツ文化の違いなどについて紹介する。
名古屋市公立小学校部活動廃止に伴う外部委託事業に関する研究
千葉 直樹
日本スポーツ社会学会第31回大会, 2022年, 単独, 査読有, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 日本スポーツ社会学会, 神奈川県, 1.研究の背景及び目的・方法
教員の働き方改革に関する議論において、部活動を担当する顧問が超過勤務する問題が注目されてきた(内田、2017)。スポーツ庁は、2018年3月に、「運動部活動のあり方に関する総合的なガイドライン」を発表し、中学校や高校の部活動に関して、週2日の休養日の設定や練習時間の目安などを示した。さらに同庁は、2020年9月に,休日の部活動の地域移行を、2023年度から始める方針を発表した。部活動の地域移行について検討する上で、運動部活動の外部指導員に関わる事例は参考になるだろう。青柳他(2015)は,運動部活動の外部指導者を,謝礼補助型,人材紹介型,学生派遣型,企業連携型という四つの類型に分類し,中学・高校教員へのインタビュー調査を通して問題点を指摘した.千葉(2021)は、東京都杉並区中学校の「部活動活性化事業」について調査し、区の予算で競技経験のない顧問の部活動を中心に,民間企業からスポーツ指導者を受け入れた企業連携型の事例について報告した。このように中学校と高校の部活動の問題が大きく取り上げられる一方で、小学校の問題は十分に検討されてこなかった。それは、小学校学習指導要領には部活動に関する記載がなく、小学校5年生の部活動加入率が40%を超える県は、愛知県などの4県のみであったからだろう(内田、2018)。
名古屋市の公立小学校では、2017年度の時点において全校で部活動が行われ、4年生から6年生の約7割が参加していた(中日新聞、2018年3月5日)。こうした状況において、名古屋市教育委員会は、教員の指導による小学校部活動を見直し、2021年度から新たな形での対応ができるよう検討すると発表した。名古屋市では、2020年6月に「なごや部活動人材バンク」(以下、人材バンク)を設立し、2020年9月から「名古屋市小学校における新たな運動・文化活動」(以下、新たな運動・文化活動)を8区の小学校で始めた。このような政策の転換は、どのような経緯で行われたのだろうか。また「人材バンク」の運用や「新たな運動・文化活動」の指導内容や運営はどのように行われているのだろうか。
本研究では、これらの研究の問いを探究するために、1)名古屋市立小学校の部活動を見直した経緯と、2)見直し後に設立された「人材バンク」と「新たな運動・文化活動」の運営内容について明らかにすることを目的とする。2021年11月に、名古屋市教育委員会の担当者3名(A氏、B氏、C氏)と、2022年1月にこの事業を受注したD社の担当者2名(E氏、F氏)に専門家インタビューを各2時間程度行った。専門家インタビューは,近代化論に基づく解釈主義のアプローチである(Meuser and Nagel, 2019).つまり,このインタビュー方法において,インタビュー・データは,語り手と聞き手の相互作用によって構築されたものとして解釈される.
Meuser and Nagel(2019)は,専門職の地位にあり職業的な知識を持つのみならず,職業領域における意思決定や他者の行動に影響を及ぼす者として専門家を捉えた.本研究では,これらの定義を参考にして,名古屋市教育委員会職員と,民間スポーツクラブを運営するD社の職員を,名古屋市立小学校部活動の見直しに伴う外部委託事業に関わる専門家として選んだ.これらの語り手は,この事業創設の経緯や目的,問題点を専門家として理解する立場で働いていた.彼らはすでに運営されていた事業に取り組んでいた訳ではなく,小学校部活動の問題点を解決するために,主体的に事業の運営を行った専門家であったために,この方法を採用することにした. 本研究は、2021年11月に、中京大学大学院スポーツ科学研究科倫理審査委員会の承認を受けた。
2.結果及び考察
名古屋市教育委員会では、2017年度に部活動のあり方に関する検討部会を設置し、教員の部活動に関する実態調査を行った。この調査の結果、小学校で部活動を指導している教員の70.5%が部活動の指導に負担を感じており、そのうち58.4%が負担の内容として、「授業準備や教材研究等の時間が十分とれない」と回答したことが明らかになった。名古屋市教育委員会では、教員が授業準備等、教員本来の業務に携わる時間を確保するため小学校部活動の見直しを決定し、新しい活動のあり方を検討するために、2018年度に地域のスポーツ団体等に関する調査を行った。こうした調査を行った結果、名古屋市の全ての小学校で総合型スポーツクラブ等に移行することが難しいと判断し、民間委託の方法を検討し、2019年9月から2020年2月まで市内5校で民間事業者等による部活動をモデル事業として行った。
さらに、名古屋市教育委員会では、2019年10月から12月にかけて、民間企業等の25団体に民間委託に関するサウンディング調査を行い、運営事業者とは別の指導者確保の仕組みが必要であるという意見を聞き、2020年6月から「なごや部活動人材バンク」を設立することになった。名古屋市では、2020年9月から8区133校で、「新たな運動・文化活動」を開始し、延べ参加児童数は2万4305名で、延べ指導者数は1661名であった。実働する指導者の数は133校で900名程度であった。D社のF氏によると、2022年1月の時点で、人材バンクに登録された指導者数は約4000名で、実働する指導者は約2000名であった。
この事業は、2021年9月から全16区262校で行われるようになった。名古屋市の小学校部活動では、これまで軟式野球、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、器楽、合唱の六つが多くの学校で行われてきており、この6種目を中心に各学校の状況を加味して、種目を決定した。これまでの小学校部活動は、学期ごとのシーズン制であったが、「新たな運動・文化活動」では、通年で週3日間複数の種目を、1回90分以内で行えるように変わった。
この事業を紹介する資料には、活動のあり方として、「公平性の確保、安全性の確保、多様性の確保、主体性の尊重」の四つが明記されていた。このような理念を決めた意図について尋ねると、A氏は、有識者会議等で議論した結果、公教育で「新たな運動・文化活動」を行う上で、家庭の経済状況や技能の優劣に関わりなく誰もが参加できるように公平性を重視する必要があったことについて説明した。この事業は小学校で行われているが、学校の管理外という扱いになり、災害共済給付制度の適用外になるために、参加児童は指定の傷害・賠償保険に自費で加入する必要がある。しかし、児童は保険加入のための費用以外に負担がなく、地域指導者への謝金等は名古屋市の税金で賄われていた。
「人材バンク」と「新たな運動・文化活動」の運営のために、2020年度に約5億4313万円、2021年度に約12億4852万円の予算が名古屋市教育委員会に計上された。この事業は、安全面を考慮して一つの種目に指導者等2名のスタッフを配置するように計画されている。これらの指導者は、名古屋市がD社に運営業務を委託する人材バンクを通して募集され、最大34時間に及ぶオンラインと対面による研修を受ける必要がある。
2018年4月に名古屋市長がこの事業に関して「部活動の民営化」と発言したことについて尋ねると、A氏はこの事業が民営化というよりも「公設民営」というイメージに近いと説明した。A氏は、小学校部活動の見直しに伴う外部委託事業を行う上で、学校関係者や民間事業者等に調査をした上で、政策を立案しており、運動・文化活動の公平性を確保するとともに、地域における民間事業者の事業拡大を意識していた。
サブカルチャーとしてタトゥーを彫るスポーツ選手のグローバルな身体意識
千葉 直樹
日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会 スポーツ文化研究部会 課題B, 2021年, 単独, 査読有, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 筑波大学, 茨城県, プロボクサーの井岡一翔は、2020年大晦日の試合中にタトゥーを露出し、日本ボクシングコミッションが定める欠格事項に違反したために、厳重注意を受けた。日本のスポーツ界では、タトゥーを含む刺青が、暴力団などの反社会的勢力との関係を想起させ、保守的な日本人に不快な思いをさせるために禁止されている。それでは、このような規制にもかかわらず、日本人スポーツ選手はどのような理由でタトゥーを入れるのだろうか。本研究では、2000年以降に日本スポーツ界でタトゥーを入れたスポーツ選手の事例に焦点を絞り、彼らの身体意識とメディアによる表象を明らかにすることを目的にする。文化人類学者の山本は、江戸時代の飛脚などの彫り物や、20世紀初頭まで存続した沖縄女性のハジチには、元々否定的な意味はなく、明治政府による文明開化政策のために禁止されるようになり、1960年代以降に、東映によって放映されたヤクザ映画によって、刺青に反社会的なイメージが形成されたことを指摘した。本研究では、ミシェル・フーコーのエピステーメーという概念を通して、刺青に関する評価や価値観が歴史的に変化したことを分析する。哲学者の鷲田は、刺青は「魂の衣」であると説明した。つまり、刺青は、身体の表面を煌びやかに表象する装飾であるとともに、人の内面にある<魂>を浮かび上がらせる。松枝は、日本社会における刺青の受容を歴史的に検討し、刺青が個人的側面において、肯定的価値として「決意の表明」、否定的価値として「失策の証拠」を意味すると説明した。現代社会における若者のタトゥーの受容は、グローバル化が影響を及ぼすサブカルチャーとして捉えることができるだろう。本発表では、タトゥーを入れるスポーツ選手の身体意識を分析することを通して、われわれが持つ「従順な身体」について考える視点を提起する。
2019年ラグビーワールドカップにみるタトゥーしたラグビー選手の表象
千葉 直樹
2020横浜スポーツ学術会議, 2020年, 単独, 査読有, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), 一般社団法人 日本体育学会, 横浜市, Yokohama, 2019年のラグビーワールドカップの前後の時期に焦点を絞り、日本の新聞がラグビー選手のタトゥーをどのように報道したかについて量的・質的に分析を行った。
日本の中学校部活動への民間スポーツクラブによる業務委託に関する研究
千葉直樹
2019年国際スポーツ社会学会, 2019年, 単独, 査読有, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), 国際スポーツ社会学会, オタゴ大学、ダニーデン、ニュージーランド, University of Otago, Dunedin in New Zealand, 2015年の時点で全国の中学校で訳3万人の外部指導員が中学校の部活動で指導にあたっているが、その指導形態はボランティアの場合もあれば、非常勤の場合もあり、学校により待遇に大きなさがある。充分な報酬を受け取った上での指導ではない。また現場の教員の中には、外部指導員を受け入れることに対する抵抗感を表明する者も少なくない。
本研究では、公立中学校への民間スポーツクラブによる外部派遣事業の事例に焦点を当てる。スポーツ庁は、2018年3月にこうした部活動の状況を改善するために、「運動部活動のあり方に関する総合的なガイドライン」を発表した。その中身は、週2日程度の休養日やオフシーズンの設定、平日は2時間、週末は3時間程度の活動時間という指針を示した。民間スポーツクラブが部活動の外部指導員派遣をする例はまだ少数である。本研究では、全国展開するAスポーツクラブの派遣事業に焦点を当てて、部活動コーディネーターや指導員へのインタビュー調査を通して、この事業の課題を明らかにすることを目的にした。発表では、詳細な結果について報告する。
バスケットボールの指導において暴力行為を容認させる権力関係に関する研究ーミシェル・フーコーの権力論によるバスケットボールチーム内の規律の受容に関する解釈
千葉直樹
日本体育学会体育哲学学専門分科会, 2019年, 単独, 査読無, 無し, 国内会議, 2012年の桜宮高校男子バスケットボール部暴力事件を発端として、スポーツ指導における暴力の問題が社会的に取りざたされ、様々な研究が行われた(千葉、2016;松田、2016;高尾、2018)。この事件を受けて,日本体育協会等の5団体は会議を開催し,暴力行為根絶宣言を採択した。しかし、この事件から6年後に、日本バスケットボール協会の幹部は、インテグリティ委員会を設置し、その理由の一つとして、ミニバスの指導者による暴力、暴言の相談が相対的に多いことをあげた(朝日新聞、2019年3月21日)。つまり、暴力根絶という宣言は一定の効果を上げながらも、一部の指導者には十分に届いていない現状がある。どのような理由からバスケットボール指導者は、暴力行為を指導に用い、そのことが容認されるのだろうか。本研究では、バスケットボールの指導者が暴力を行う理由と、それを容認させる仕組みを明らかにするために、バスケットボール指導者に関する書籍を対象にテクスト分析を行った。その際にミシェル・フーコーの規律・権力に関する理論を参考にした。
札幌市・江別市のパークゴルフ参加者の活動状況
千葉直樹
第16回社会学の国際会議, 単独, 査読無, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), ダーバン、南アフリカ, Durban, South Africa.
スポーツのグローバル化:光と影
千葉直樹、ジャクソン、スティーブ、平井肇
アジアスポーツ研究フォーラム, 2004年, 共同, 査読無, 有り, 国際会議, シンポジウム・ワークショップパネル(指名), 滋賀大学, Shiga University
ニュージーランドから日本へのラグビー選手流出
千葉直樹、ジャクソン、スティーブ
アジアスポーツ研究フォーラム, 2004年, 共同, 査読無, 有り, 国際会議, 口頭発表(一般), 滋賀大学, Shiga University
スポーツ移住の経営、ニュージーランドからのラグビー選手流出
千葉直樹、ジャクソン、スティーブ
第9回オーストラリア・ニュージーランド・スポーツ経営学会, 2003年, 共同, 査読無, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), University of Otago in Dunedin, New Zealand
日系人アイスホッケー選手の移住動機に関する研究
千葉直樹
日本スポーツ社会学会第11回大会, 単独, 査読無, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 九州大学, 本研究では、長野五輪の時に帰化した四名の日系人アイスホッケー選手(三名はカナダ出身者、一名はアメリカ出身者)にインタビュー調査を行った。その目的は、日系人選手の移住動機や国民的アイデンティティなどを把握することであった。
インタビューの結果をまとめると、移住動機に関してA・C・D選手は、日本人の文化的遺産(heritage)について学ぶことを第一にあげていた。さらに、この三選手は、プロ選手としてプレーすることの重要性を認めた。B選手の場合には、移住動機として、家族を養うために金を稼ぐことをあげていた。
選手の国民的アイデンティティに関しては、四人とも日本を代表してプレーすることに心理的な葛藤を感じていなかった。ただ、B選手とC選手は、カナダ代表と対戦する時に、何らかの戸惑いを感じたようである。加えて、四人の日系人選手は、帰化に際して自分のカナダ人らしさ(D選手の場合にはアメリカ人らしさ)を失っていない、と答えていた。A選手は、日系カナダ人 (Japanese-Canadian)として自分のことを強く認識しており、C選手とD選手は、保有する旅券(パスポート)によって自分のアイデンティティが規定される訳ではない、と述べていた。インタビューを実施した日系人選手たちは、日本に対して愛国心を持っていたけれども、両方の感覚を比較すれば、生まれ育った出身国の人間としての意識が強いようであった。
日本と出身国の間にあるアイスホッケー文化の違いについて、カナダ出身の三選手は、カナダではアイスホッケーが一番の人気スポーツである一方で、日本ではマイナー・スポーツであることをあげていた。さらに三選手は、選手の体格、競技レベル、選手育成システムなどの違いを指摘していた。加えて、カナダ人選手たちは、先輩後輩関係や敬語などに、はじめは戸惑いを感じたようであった。
太平洋沿岸地域におけるプロ野球リーグ間のスポーツ労働移住
千葉直樹、守能信次
日本体育学会第51回大会, 共同, 国内会議, 口頭発表(一般), 奈良女子大学, 本研究は、太平洋沿岸地域に発達したプロ野球リーグ間(アメリカ、日本、韓国、台湾)に生じる国際的な選手移籍の傾向を把握することを目的とした。日本のプロ野球の場合には、1995年11月に同時に出場できる外国人選手数を3人、70人の支配下選手内の数を無制限にすると改正した。この結果として、外国人選手の総数は41人(1995)から60人(1998)に増加した。1998年のシーズンでは、全選手742人の内8.2%が外国人選手によって構成され、その半数はアメリカ人であった(表1)。CPBLでは、1990年の設立時から同時に出場できる外国人選手の数は基本的に3人、支配下選手内の外国人の数は1995年に10人であったが、1997年3月の規定改正によって無制限になった。1998年には、全選手230人の内117人(50.8%)が外国人選手であり、その内訳はアメリカ人が69人(58.9%)、ドミニカ人が27人(23%)であった。韓国のプロ野球リーグは、1982年に発足し1998年まで外国人選手に門戸を開いてこなかった。韓国リーグの外国人枠は、各チーム2名までと規定されており、1998年には11人、翌年には16人の外国人選手が確認され、その大多数がアメリカ人であった。大リーグには、外国人選手枠が規定されていないが、マイナー・リーグのチームを含め各チーム24人の外国人選手に対してビザを発行するという規定がある(Klein, 1989)。1986年に大リーガーに占める外国人選手の比率は10.6%であったが、1998年にその比率は28.4%へと増加しており、9割方の選手がドミニカ共和国やプエルトリコといった中南米諸国の出身者であった。外国人選手の増加傾向は、大リーグ球団の増加によって生じた労働力不足を補うために促進されたと考えられる。このような傾向は日本・台湾・韓国のプロ野球リーグにおいても確認されている。
プロ野球というグローバルな労働市場において、大リーグは中心経済であり、その労働力不足を補うために海外の優秀な野球選手は、以前に比べ積極的に勧誘されるようになってきた。この競争の激化によって、マイナーリーグのアメリカ人が東アジアのプロ野球リーグに越境するというグローバルな循環が加速している。
太平洋沿岸地域におけるプロ野球リーグ間にあるスポーツ労働移住
千葉直樹、守能信次
2000年プレ・オリンピック会議、スポーツ科学、スポーツ医学、体育の国際会議, 共同, 査読無, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), ブリスベン、オーストラリア, Brisbane, Australia.
帰化選手に対するメディア報道の分析
千葉直樹
日本体育学会第50回記念大会/ 体育・スポーツ関連学会連合大会, 単独, 査読無, 無し, 国内会議, 東京大学
日本における一流競技者の操作的な帰化
千葉直樹、海老原修、守能信次
第14回国際スポーツ社会学会, 1999年, 共同, 査読無, 無し, 国際会議, 口頭発表(一般), ハンガリー大学, Hungary University in Budapest, Hungary.
操作的越境のシークレット・メッセージ
千葉直樹、海老原修
日本体育学会第49回大会, 共同, 査読無, 無し, 国内会議, 愛媛大学
一流競技者にみる操作的越境について
千葉直樹、海老原修
日本スポーツ社会学会 第7回大会, 共同, 査読無, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 神戸大学
異なるスポーツクラブ参加パターンが日常生活の心理的対処能力に及ぼす影響
千葉直樹、海老原修
日本体育学会第48回大会 新潟大学, 共同, 査読無, 無し, 国内会議, 口頭発表(一般), 新潟大学, 大学生の心理的対処能力が過去のスポーツ経験によってどのように異なるか分析し発表しました。